システマ・コンビネーション
あらすじ

 過去の事件の影響で人との関係にしか興味を持てない少年【修羅】は、友人とのやりとりの中で少しずつ他人への関心を取り戻そうとしていた。 そんな矢先に彼が新宿で声をかけたみすぼらしい身なりの少女【理亜】は、幼少時に生き別れた妹の理亜であった。 そして、修羅がある告白をするなり、理亜は彼を拒絶するようになる。 その時は諦めた修羅であったが、謎の少年と両親の助言により、再び彼女と会って話をすることを決意する。 あくまで、彼女の兄として世話を見るために…。

 しかし、修羅が理亜の身元を調べたことにより、事態は思わぬ展開を迎える。 蠢動する二つの組織、兄妹の関係に纏わる偶然の連鎖、そして、二人は本当に兄妹なのか…。

 純粋な気持ちで踏み入れたその世界は、修羅が取り戻しかけていた人の心を再び崩壊させていく。 真実の秘匿の上に、友情は、愛情は、存在し得るのだろうか。
登場人物
・千野修羅

主人公。高校二年生。他人に興味を持つことができず、他人同士の関係にのみ興味を示す変わった性格をしている。 校内で浮いているわけではないが、友人と呼べる人間はごく少数である。 小学生の頃に両親が離婚し、中学生の時に交通事故に遭い、中学時代の記憶を喪失しているというなかなかに波乱な過去を持つ。 この事実は同じ中学校の同級生の間では有名な話であり、その中性的な容姿も相まって言い寄ってくる異性は多い。 本人はその性格と言動から一部の生徒に嫌われていると思っており、それも彼が他人に関わりたくない理由の一つとなっている。 現在は父親と二人暮らしだが、仕事で海外を渡り歩く毎日を送っている父であるため、何人かの使用人は雇えども実質的に一人暮らしである。 両親の離婚時に生き別れた妹だけが唯一の気がかりだが、7年以上顔を見ていないためにその姿も曖昧になってきている。 かつては会おうと躍起になったこともあるようだが、中学時代の記憶喪失が全てを破たんさせたようだ。 それでも今の空虚な生活よりも求心的であるらしく、摩耗し色あせた記憶だけを頼りにかつての思い出の場所に入りびたり、現実の虚無感を仮初の充実で満たしている。
・藤堂理亜

修羅の妹。長らく彼の実の妹だと思い暮らしてきたが、中学生の頃に偶然、修羅と自分の戸籍に不審な点があることを知ってしまう。 それを機に、独自に二人の関係を調べようと行動を起こしてみたが、只の女子中学生一人が国によって秘匿された情報を取得できるほど、既存の社会システムは甘くはないという事実を痛感させられる。 以降は真実を解明するために手段を選ばなくなり、同級生との交流も断絶した。 次第に私生活も困窮していき、自身の身元を解明させるために自己を犠牲にするという矛盾した日々を送っている。 学校以外では身なりも気にしない徹底した節約体制をしいているが、元々は極度の潔癖症。 時には都会の雑踏で貧血を起こすほどであり、こういった癖を省みない点においても、生活における個の欠落が見て取れる。 また、特定の場所に踏み入れると常に視線を感じてしまうとも、かつて修羅に語っていた。
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